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 『朝日新聞』に連載された絵物語を単行本にしたのが本書である。新聞連載で有名となり、さらには廉価だったこともあって多くの読者に支えられた。
 初出は『東京朝日新聞』の1934年4月5日より6月6日まで、『大阪朝日新聞』には同日より6月13日まで連載、全50回。本書収録にあたっては『大阪朝日新聞』の第36回目を削り、49回分を収録、また収録にあたって、内容はかわらないものの、レイウト、表記を変更している(『東京朝日新聞』未調査)。
 最初の作品構想は、1932年1月24日より4月3日まで6回にわけて『読売サンデー漫画』紙上に掲載された「くるみ太郎」である。「くるみ太郎」では、桃太郎の121代目の子供であるくるみ太郎が、鬼と仲良くなりたいために鬼たちを日本へ招待する。「赤ノッポ青ノッポ」はその続編にあたる。ただし少年の名前は今野桃太郎へと変更、また小学校に入学して珍騒動を繰り返す鬼たちの生活風景を、ユーモラスに描いている。各ページ4コマ単位で成り立ち、その積み重ねによる物語構成を行っている。
 武井武雄は童画作家として著名となったが、ここではマンガに近い絵物語の形式に挑戦している。昭和初期は新聞に何人かの童画作家が筆を執った。特に『朝日新聞』にはそれが顕著で、武井の作としては同紙に載せた「ハツメイハツチャン」とともに長く人々に記憶されている。
 さらに続編が「日本少国民文庫」全16巻(1935〜37)に連載された。単行本の方は1934年に鈴木仁成堂から出されたあと、戦後の1955年5月、「小学館の幼年文庫」に同題の作品が収録された。ここでは鈴木仁成堂版から戦時色のある部分を除いている。1978年ほるぷ出版より復刻版が出た。

[解題・書誌作成担当] 竹内長武